私が初めて計算機科学を学んだ『ファインマン計算機科学』では,ミンスキーの本に掲載されているチューリングマシンを使って計算の理論を解説していました。

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『ファインマンさんの流儀』によると,ファインマンは何でも自分で再発明してみるタイプだったそうなので,万能チューリングマシンも自分で構成したかもしれません。しかし,解説に使ったのはミンスキーのものでした。

われわれの議論は,ミンスキー[1967]の議論を念入りにたどっている。(p.56)

このミンスキー[1967]は Computation: Finite and Infinite Machines のことで,Amazonでは見つけにくいのですが『計算機の数学的理論』という翻訳があります。

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ミンスキーと言えば『心の社会』が有名で,たとえば石田晴久先生は,『コンピュータの名著・古典100冊』新版あり)の中で次のように書かれています。

節の数は全部で262もある。(中略)この262節の中には修士論文や博士論文のタネがごろごろしているような感じがする。(p.81)

『計算機の数学的理論』にも,実は博士論文のタネが埋まっていて,私はかつて,それを拾って博士論文を書きました。(タネから芽が出たとは言いませんが。)

追悼:マーヴィン・ミンスキー。MIT人工知能研を設立したAI研究の先駆者