AIの技術ではなく哲学について考えさせる本です.とはいえ,針の上で天使は何人踊れるか,といった話は皆無で,博士(工学)らしい(というと偉そうで申し訳ないのですが),抑制の利いた書き方をされています.

創作活動を「バベルの図書館の探索」に例えるのは単純化しすぎたろうと思い,『哲学探求』や『カウフマン、生命と宇宙を語る』を読み返すことになりました.(筆者と同じ研究室にいた頃に読んだ本なので,懐かしさからということもあるでしょう.20年くらい前のことです.探索されるのはPTYPEではなく,GTYPEまたはその表現方法ではないかと思うのですが,そこに本質的なものはないと著者は考えているのかもしれません. )

テクノロジーが関わる,主に芸術的な創造性についての話題を幅広く集めていて,資料的価値も高いです.(ただし索引がないので,電子版が出るならそれも入手したいところです.)

装丁デザインのテーマは,「100年前のAIの本」とのこと. そういう時間スケールを意識して仕事をしたいものです.