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矢吹太朗『Webアプリケーション構築入門』(森北出版, 2011)

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2007年に出版した『初級プログラマのためのWebアプリケーション構築入門 実践で学ぶJava, XHTML, SQL』の、4年ぶりの改訂です。改訂とは言っても、タイトルと副題が変わっていることからもわかるように、ウェブ技術の現状に対応させるために内容を大幅に書き換えました。

「プログラミングの入門書は読んだ。次はウェブで何かやってみたい」という人のための本です。「私はデザイン担当で、プログラマは別にいる」という人には、残念ながらあまり役に立たないでしょう。

ウェブで何かするためには、さまざまな技術が必要になりますが、本書ではそのかなりの部分を広く浅くカバーしています。扱っている話題は、HTML, CSS, JavaScript, サーブレット, JSP, PHP, MySQL, JDBC, PDO, MVCパターンと多岐にわたります。深く学ぼうとすれば、どれも1冊の本が必要になる話題ですが、初学者のために、この1冊にまとめました。私は大学教員ですが、学生に何冊も本を買わせるわけにはいかないという事情もありました。

具体的な書名はここでは挙げませんが、ウェブに関連する話題を「広く浅く」扱った書籍は他にもあります。それらと本書の最大の違いは、本書は単なる読み物ではなく、実際に動かして納得するために必要な情報を提供していることにあります。この「動かせる」ということは、コンピュータを扱う上で、最も重要なことだと私は考えています。

プログラミングには、他の創作活動にはない大きな特徴があります。それは「創作物の振る舞いをほぼ完全に制御できる」ということです。プログラマは自分の意図のほとんどすべてを表現し、明確に伝えることができます。(p. ii)

これだけでは説得力に欠けるかもしれないので、最近の興味深い小説から、似たような主張を引用させてもらいましょう。

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もしきみがまだコンピュータのプログラムをつくったことがないなら、ぜひ一度つくってみるといい。他に類を見ない体験だからだ。コンピュータのプログラム作成は、コンピュータを君の命令通りに動かすことを意味する。(中略)掛け値なしに感動的な体験になるはずだ。感動で胸がいっぱいになるはずだ。ドクトロウ『リトル・ブラザー』(早川書房, 2011)

ほんの少しのプログラムを使って、自分のコンピュータをネットの世界で動かすという体験は、胸いっぱいとはいかなくても、感動的な体験になることは間違いありません。

ぜひ読んでみてください。

初版の読者サポートには自前のTracを使いましたが、この第2版ではGitHubを使います。これも、この4年間のウェブの変化への対応です。